2014.8/20
黒毛和牛発祥の地は長崎県平戸市という説がある。1200年以上も前から、放牧がなされていた、という記録が残っているのがその話のゆえん。17世紀の初めにオランダとの貿易が始まり、牛の輸入も盛んになった。当然の流れで従来の和牛と輸入牛の交雑に至り、貿易都市ならではの和牛文化を築きあげてきたワケだ。
そんな和牛の聖地とも言える平戸でいま、「平戸和牛フェア」なるキャンペーンが展開されている。期間中はフェア加盟の飲食店、宿泊施設で焼肉やステーキ、しゃぶしゃぶ、牛丼に和牛バーガーなど、バリエーション豊富な牛肉料理が味わえる。しかもステーキとしゃぶしゃぶに至っては、A4級以上を使用するという何とも嬉しい規定が設定されているという。ここまで聞けば、いかなる猛暑でも家でじっとしている場合ではない。早速、平戸和牛と温泉を目当てに日本の本土最西端の地へ行ってきた。
伺ったのは千里ケ浜というプライベートビーチを持つリゾートホテル「蘭風」。リゾート施設とはいえ、赤茶色のにごり湯が敷地内から湧き出す温泉宿でもある。さすがに150室近い客室を擁する大型施設だけあり、温泉浴場も広くて楽しげ。男性浴場には、トロピカルな雰囲気をただよわせるジャングル風呂があり、外の露天風呂も浴槽が多数点在する。
したり顔でドーンと佇んでいる一番大きな浴槽に漬かる。にごり湯とは、不思議な力を持っていることにあらためて気付かされる。かけ流しではなく循環機を使用してはいるものの、美しい赤茶色のお湯に漬かるだけで健康になりそうな気分になる。実際には日常で体験できないロケーションが、いわゆる「プラシーボ効果」を生み出し、人は心身に生気を取り戻すのだとか。
浴場内の露天風呂を次から次にはしご湯し、最後は冷水を浴びる。湯上りの保温効果たるや半端ではない。温泉に10分漬かると、10分のジョギングに相当するカロリーを消費するという。40分ほど漬かった。心置きなく極上の平戸和牛を食らうことにする。
<西スポ2014年8月13日(水)掲載「花田伸二のいい湯だな」より>
【住所】長崎県平戸市川内町55 【TEL】0950-23-2111
【HP】http://www.hotelranpu.com