ゆけむり紀行

2014.6/4

ここは湯快なテーマパーク

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自然に囲まれ、ゆったりとくつろげる露天風呂

オープンしたのは2013年3月、知ったのはうかつにもテレビCMだった。地元とも言える福岡県の宗像にできた温泉施設なのになんとしたことか。などと情報通ぶった悔しさと、新しさへの期待を抱えて訪問した記憶はまだ新しい。それから約1年ぶりに「宗像王丸天然温泉 やまつばさ」へ行ってきた。
宗像市内の大動脈とも言える国道3号を少しだけ山手に登ると徐々に姿が現れる。デザイン性の高さがうかがわれる白亜の建物内は木のぬくもりと清潔感が漂い、活気にもあふれている。チェックインして奥へ進むと見せ場が登場。大きなガラス張りの渡り廊下は展望台のごとき景色が広がっている。初めて目にする人は歩を緩め、見とれてしまうこと請け合いだ。

その奥、清潔な脱衣所で服を脱ぎ捨て、泉質表をチェック。「アルカリ性単純泉」「pH9.6」「湧出量毎分228リットル」、「全館かけ流し」。温泉地でもない宗像とは思えない温泉のデータだ。特に湯量の豊富さは、多種多彩な浴槽に表れている。大浴場や水風呂、ミストサウナに高温サウナ、大きめの露天風呂やおけタイプの1人用の浴槽まで、テーマパークのごとき造り。しかもイスやベッドが点在しており、気候のいい今の時期なら半日ぐらいは浴場内で過ごせそうだ。

まずは大きめの露天風呂へ漬かる。pH9.6はダテじゃない。肌にまとわりつくようなヌルヌル感、それと毎日入れ替えているお湯の清潔さ、宗像の国道近くとは思えない自然あふれるロケーション。「余(よ)は満足じゃ」と、ヒゲでもなでてしまいそうな気にさせてくれる。せっかくなので隣にある1人用の壺(つぼ)湯にも漬かってみた。見た目には窮屈そうな感じがなきにしもあらずだが、意外にもしっくりと落ち着くではないか。竹林の葉ずれの音を聞きながら柔らかな温泉に身を任せる。暑くもなく、寒くもない。一年で最も温泉を楽しめる季節なのを実感する。こんな地元の極楽をなぜ、1年間も訪れなかったのか悔やまれる。これから地道に宗像市へ50円の入湯税を落とすことにしよう。
<西スポ2014年4月16日(水)掲載「花田伸二のいい湯だな」より>

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ガラス張り渡り廊下
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十間風呂
  • リラクゼーションサロン完備
  • 国道3号線より山手に車で1分。そんな立地だが自然に溢れた景観を誇る。設備は多種多彩な湯船や家族湯ほか、レストランやリラクゼーションサロンも完備。優雅な気持ちにさせてくれる温泉リゾートと言える。
福岡県・宗像王丸天然温泉「やまつばさ」

【住所】福岡県宗像市王丸474 【TEL】0940-37-4126
【HP】http://www.yamatsubasa.jp/