ゆけむり紀行

2014.1/29

人情を求めて…。充実の設備と風情、温かなおもてなしにリピーター続出

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情緒ある小道の先に母屋が立つ小田温泉「山しのぶ」

私は温泉旅館をこよなく愛している。大自然の恵みである温泉にゆったり漬かる心地よさ、供される料理のおいしさだけでなく、旅館でお世話をしてくれる「人」の温かさに触れたくて足を延ばす頻度も高い。高級旅館や老舗旅館の日本的おもてなしに癒されるのは言うまでもないが、こぢんまりとした旅館の人情を感じる接客もいい。私的には後者を選ぶことが多い気がする。小田温泉「山しのぶ」もそんな宿の一つだ。

黒川温泉より車で南西方向へ約5分、のどかな田園風景の中に旅館や民宿が点在する温泉地・小田温泉。今やポスト黒川温泉の候補にも挙がるエリアとなったが、人気温泉地としてのポジションを確立した一因は、この「山しのぶ」だと言っていいだろう。もともと民宿ばかりだった温泉街に登場したのは、20年前のこと。1500坪の広大な敷地を誇り、男女別露天風呂やユニークな貸し切り風呂、囲炉裏小屋や天文館、ライブラリーなどの施設がそろった純和風旅館。いつも笑顔のおかみさんが親切に案内してくださったのを思い出す。

一概に温泉旅館といっても「当たり外れ」があるのは否めない。たいていの旅行者は目当ての旅館へ着くと、駐車場から母屋に向かうアプローチで旅館選びの成否を無意識のうちに占ってしまうもの。その点、こちらは「予約して正解だった」と瞬時に感じる向きが多いはずだ。趣深い、自然な情緒あふれる小道の先に母屋が立つ。客室は一般的な和室(7.5+3畳)、離れ(10+4.5畳、内風呂と露天風呂付き)、それに「新館」と呼ばれている離れ(6+4.5畳、内風呂と露天風呂付き)の3タイプがある。ハイコスパなのは新館だ。小さいながらも2間続き、内風呂と露天風呂も備えて18900円~!。

チェックインを済ませ、向かったのは男性専用露天風呂。樹木に囲まれた岩造りの浴槽はわびさびを感じさせてくれる雰囲気が漂う。日暮れ前とあってか小鳥が枝を渡っていた。源泉掛け流しでちょうどいい湯加減だ。ここではいつも長湯をしてしまう。湯上りに食事処であでやかな会席料理を堪能した後、囲炉裏小屋へと向かう。こちらでは地元のお酒が振る舞われている。囲炉裏を囲み、パチパチと音を立てるまきの炎を酒の肴に、一献酌み交わす。ついぞ「しあわせだなぁ~」と加山雄三ばりにつぶやいてしまうのは、私だけではないはずだ。。
<西スポ2014年1月15日(水)掲載「花田伸二のいい湯だな」より>

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樹木に囲まれた岩造りの露天風呂
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純和風の客室
  • 【日帰り情報】
  • ●営業時間:11時~14時までの受付で1時間利用可※男女別(内風呂・露天風呂)
  • ●料金:大人500円 小学生300円 幼児無料
熊本県・小田温泉「静寂な森の宿 山しのぶ」

【住所】熊本県阿蘇郡南小国町小田温 【TEL】0967-44-0188
【HP】http://www.yamashinobu.com