ゆけむり紀行

2014.1/15

乳清色の湯、紺碧の別府湾、だんご汁でお腹も満たされ…快感

id379_01
乳青色が特徴的な「景観の湯」

ヒトの五感から脳へ伝達される情報のうち、実に87%が視覚からという説がある。だとすれば、視覚の影響力というヤツは絶大。同じ温泉でも無色透明の湯より、にごり湯に人気が集まるのも納得がいく。にごり湯には白系、茶系、緑系、青系など、さまざまな色がある。私が最も好きなのは、青系の乳青色だ。今回もわが欲求の赴くままに、別府観海寺温泉「いちのいで会館」に向かう。

別府インターから市街地方面へ、車で約10分。住宅街の狭い路地を上り詰めた場所が、今回の目的地だ。とはいえ、眼前に立つのは一見して普通の仕出屋さん。ムムッ(・・・って、博多華丸じゃないんだけど)。受け付けを済ませると、温泉ではなく2階の大広間へ通される。そう、ここでの温泉入浴には食事が必須。あくまでも食事客への入浴サービスというスタンスなのだ。温泉入浴付きの「だんご汁定食」が1470円と、価格も良心的である。ほっと落ち着くだんご汁をいただいた後は、広間片隅のロッカーに貴重品をしまい、えっちらおっちら向かうは「景観の湯」。裏口から山手へ上がると、簡易な脱衣所が設置されている。いざ浴場へ!直後に広がる景観には圧倒されるばかりだ。

眼前には別府のランドマークタワーであるグローバルタワー、湯煙たなびく街並み、さらにその向こうに紺碧(こんぺき)の別府湾が広がる。そして「子供用プールとして造った(!?)」というデッカイ露天風呂には、鮮やかなコバルトブルーの温泉がなみなみと注がれている。景色と湯で、これぞ眼福の極み。この仕事をくれた西スポさんに感謝をささげつつ、湯船に漬かる。乳青色の湯に体が包まれる、この至福感。ん~っ、気持ちいい。透き通った秋の青空を見上げながら、温泉の柔らかな肌触りを楽しむ。ふ~っと大きく深呼吸すれば、抜群の心地よさとともに押し寄せる爽快感や開放感。こんなにもいろんな快感を一度に体感できる温泉施設は、他にはちょっと見当たらない。恐らくこちらの正式名は「いちのいで会館」ならぬ「いちのいで快感」だと思う。いや、本当に。
<西スポ2013年11月6日(水)掲載「花田伸二のいい湯だな」より>

id379_02
ほっと落ち着く「だんご汁」
id379_03
お食事処
  • 【日帰り情報】
  • ●営業時間:11:00~16:00(閉館17:00)、貸切風呂は~16:00(閉館)、土・日曜、祝日は10:00~
  • ●料金(食事付き入浴):大人1470円、小人(3~6歳)680円
大分県・別府観海寺温泉「いちのいで会館」

【住所】大分県別府市上原町14の2 【TEL】0977-21-4728