ゆけむり紀行

2014.1/6

眺望圧巻!脳内快感!新緑鮮やかな由布岳を望む露天風呂

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雄大な由布岳を眺められる絵画のような露天風呂

「おしゃれな街」「楽しそうな街」。温泉街のイメージとして、そんな声が寄せられる由布院。九州の軽井沢といわれるのもうなずける(と言いつつ私は軽井沢とやらへ行ったことはない…)。さて、そのユフインだが、表記は「由布院」と「湯布院」のどっちが正しいの?と混同される方も多いようだ。発端は1955年に由布院町と湯平村が合併し「湯布院町」(現由布市)と改名されたこと。以後、町名は「湯布院」、駅名や温泉地名には昔ながらの「由布院」が使われているというわけだ。また現在、由布市内の温泉湧出量と源泉数が、ともに隣接する別府市に次いで全国2位という温泉力もあまり知られていない。由布院はお洒落なイメージだけでなく、実力も兼ね備えた温泉地なのだ。

その温泉天国としての由布院を体感できる旅館が、今回ご紹介する「柚富の郷 彩岳館」。にぎやかな中心街から少し離れた高台に位置するため、何といっても眺めが良い。通常ロビーとなる場所にレストランを配したのも、その眺望ゆえ。そもそも旅館のロビーって、ゴージャスな造りの割には活用されていないことが多い。眺望の良い場所に思い切ってレストランを配する。ニューオープン時のレセプションでは、この空間の活用法に感服した。

こちらのランチには、うれしい特典が付く。2100円以上のメニューには、男女別大浴場の入浴券(600円分)がもれなく付いてくるのだ。というわけで時刻は正午、空腹真っ盛り。本来なら入浴後に食事をとる方が消化にはいいのだが、意志薄弱な私が空腹に勝てるはずがない。おいしそうな料理写真に飛びつくのは、至極当然の流れなのである。ゴホン。久しぶりの「彩岳館」でのランチということもあり、ちょっと豪勢に「料理長おまかせ 季節の昼ご膳」(2900円)を注文。2段重ねの重箱では、良い具合にサシが入った鉄板焼き用の和牛が、その存在感を誇示している。好きなものを最初に食べるか、はたまた最後にとっておくか。私は前者のタイプ。早速、鉄板で肉を焼く。卓を飾る料理には、多くの大分県産素材が使用されている。素材を生かした優しい味付けは、創業当初より変わらない。滋味に富んだ味わいをかみ締めつつ、幸せなひと時を過ごした。そして男湯の暖簾をくぐり、大浴場から露天風呂へ。

「!!!」

これが圧巻というヤツだ。目の前にそびえる、新緑鮮やかな由布岳。その迫力ある眺望は写真では伝えきれない。この広い露天風呂だからこそ、迫力満点の景色とのバランスがとれているのだろう。絵画のような景色を味わうため特等席を探し、肩までゆっくり漬かる。おそらくはこの瞬間だ。ホルモンなる物質が脳から分泌され、脳内で”快感”が増幅していく。敷地内の2本の泉源から湧き出る温泉は新鮮で飲用も可能。清浄な湯に身を任せる幸せ。もしや・・・極楽浄土とはここ由布院温泉のことではなかろうか、とさえ思えてくるのは私だけではないはずだ。
<西スポ2013年6月19日(水)掲載「花田伸二のいい湯だな」より>

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貸切露天風呂も充実
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料理長おまかせ季節の昼ご膳
  • 【日帰り情報】
  • ●営業時間:10:00~16:00 大浴場・露天風呂・家族湯全て(受付:15:00まで)
  • ●料金:大人600円・小学生200円※露天風呂付家族湯2箇所50分間2,000 円
大分県・由布院温泉「柚富の郷 彩岳館」

【住所】大分県由布市湯布院町川上2378-1 【TEL】0977-44-5000
【HP】http://www.saigakukan.co.jp