2014.1/1
今回私が紹介するのは別府屈指の老舗旅館「ホテル白菊」。業界では名旅館として知られるが、意外にも肩肘張らずに訪問できるのだ。というのも館内の食事処のうち、料亭以外の3つは予約なしの飛び込み利用が可能。中でもいけすを構える「浜菊」には、隠れた!?サービスが存在する。
なんと、2000円以上の飲食で、大露天風呂の入浴料1000円が無料になるという、実にありがたい話。早速、2100円の「菊御膳」を注文してみると、近海で揚がる旬の魚介を中心に味も量も申し分なし。なるほど、これだけで2100円の価値はある。食後はしばし日本庭園を眺め、くつろぎのひとときを。入浴サービスの旨は、精算時に告げられる。フロントで押印してもらえば、レシートが入浴券へと早変わり。そしていざ、本日の男湯「楠湯殿」へ。
内湯・露天ともに数十人は入れそうな圧巻の広さ。しかもこの大きな湯船には、アルカリ性の天然温泉が掛け流されている。これが別府の底力だ。露天では掛け湯をした後、ゆっくりと湯船の中央に進み出る。腰を下ろせば、ここが別府のど真ん中であることを忘れてしまうほどの開放感。至福の「ふ~っ」が何度も口をついて出る。お湯はトロリとしているが、湯上がりはサラリとした清涼感。旅の醍醐味である非日常を体験するにはうってつけの温泉だ。
一流ホテルさながらの丁寧な接客、別府の温泉力を生かした掛け流し温泉、そして手間を惜しまない料理。日帰りだけではもったいないと言われると・・・そう、残念ながら反論はできない。
<西スポ2013年4月3日掲載「花田伸二のいい湯だな」より>
【住所】大分県別府市上田の湯町16-36 【TEL】0977-21-2111
【HP】http://www.shiragiku.co.jp/